未完放流

終わりなど無い、有るのは試練だけだ……

就職氷河期世代で団結しろ?選挙へ行け?

氷河期世代のネット論を見ると、ここ数年よく出る話題。 自分も推敲してみたが他の人と同じで無理という結論になった。

anond.hatelabo.jp

駄文を捏ねて分かったのだが、就職できなかったという問題だけに留まらず、 青年期以降は繋がりを断たれ、現在でも修復されてないままになっている可能性が高い。 社会から孤立している人が相当数居るのではないかと思われる。 「いない」のと同義に扱われてしまい、窮状を訴えなければ問題として伝わることもありません。 認識できないのであれば、救済の義務も無くなり「棄民」とは言い得て妙だと感心しまった。

2022年現在、就職氷河期世代に懸念された問題が顕在化してきて、ネットの炎上ネタの定番として取り扱われている。 最近思ったのは、政府が想定している氷河期世代の範囲が広すぎるのと個人の解釈が意外とバラバラということ。 明らかに関係のないことを結び付けたがる輩や様々な誤解も見かけるが、 該当世代である私の経験や 2ch で議論されていた内容の記憶を素に通説と思える解釈を整頓してみる。

私は恐らく超就職氷河期と呼ばれる世代(2022年現在で30代終盤から40代中盤あたりが該当)で、 1000人で椅子取りゲームとか揶揄される話をリアルで聞いたので、恐らく谷底辺りを見ていたのではないかと思う。 ただ年の近い人と話していても、3年違うと情勢は意外と変わると当時も感じたので元々ブレはあるのかもしれない。

私ぐらいの年齢ですと、人口も多く大学進学率は現在と比べれば相対的に低く競争も厳しかったです。 まだ勉強して良い子にしていれば会社が一生面倒を見てくれるという価値観で高校を卒業し大学を出るときにはルールが変わっていました。 何かと「社会・会社に入ったら通用しない」という文句から説教をされ会社に入ってからが人生本番という価値観で話す人も多く、 学生時代に特に強いつながりを作らず、モラトリアムとして緩いつながりを楽しむ風潮だったように思えます。 現実にはその会社に入れない人が多数出たわけですが、これが梯子外しと言われる所以ですね。 しかし社会的にも投資したものが無為に失われた事実は受け入れるべきかと。

若い人などから本来正社員になるべき人間がなれなかったという被害妄想は聞き飽きたという意見は分からなくはない。 関係のないことと考えるのも当然です。 当時は生まれていなかったり幼いわけですし、下手をすれば親世代かもしれない中年の怨恨など聞きたくはないでしょう。 ただ現在の惨状と直結した問題ですし、社会として何を失ったかを知るのは大事かと思います。 私の予想では車輪の再発明のような無駄な苦労が今後大量に発生するはずで、これら分析することで大分避けられるはずです。

会社などの組織は、継承の失敗や発展・成長してないのは端から見ても分かりますし、 何より人口ピラミッドが我々の世代だけ少ない歪な形をしばしば見かけます。 そもそも人間の伝承なんて少し途絶えるだけで消えるのに10年も採用控えて影響がないと考えていたのでしょうかね?

難関大学ほど内定率も高いと感じましたが、旧帝大早慶卒でも就職先が無い人を見つけるのは難しくなかったです。 そもそも色んな屁理屈をつけて採用を拒否するのが当たり前でしたし、能力と学歴と費やした努力がほぼ当てにならない時代でした。 実際には能力・将来性など見ておらず、従順に命令を聞いてくれそうか(若さ)が重要視されていたと思います。 そのためか圧迫面接が横行しました。 面接回数も多く会社も大変という弁も見ましたが、本当に必要だったのか疑わしいです。

就職に関しては学歴が逆転しているという話もチラホラ聞きました。 応募要件が高卒でも、大卒の学歴を隠し働いていた事件もありました。

理系はマシで文系が悲惨というのも時々みますが、文理差があったと結論づけるのは難しいですね。 大学で職業訓練と揶揄される時間を費やしているので単純な就職率が高いのは仕方が無いかと思います。 所属研究室の教授の方針次第では実験優先で就職説明会に参加できないとか、卒業が怪しくなるかもというのはよく聞きました。 現在ですとアカハラ認定が簡単なので起きにくいですが当時は割と当たり前にありました。

影響が少なかったかもと言えるのは医者ぐらいだったと思います。 工学系の極一部ではある程度の斡旋ぐらいはあったように思えます。

また文系の方が母集団が圧倒的に大きく、当時よく言われた比率は文7理3でした。 更に理系の方が大学院進学率が高いです。 曖昧な表現になりますが同程度に労力を費やしていたのならば文系の方が有利と思った話は幾らかあります。

大学院重点化政策が謳われ進学率が高かったのもこの頃です。 就職浪人のために仮面進学する人も多かったですね。 しかし修士号をとっただけで年を取っているから嫌だとか、専門バカは採りたくないとか散々言われた時代ですね。 博士号はもっと悲惨でしたね。 分野を問わず学位が歓迎された話は聞いたことが無いですね。

女性が冷遇されたという意見ですが、あまり差は無く等しく酷いというのが実際でないでしょうか? ブラック企業でも女性には多少は気を遣っているところは多く、給料は少なくなるかもしれませんが仕事量は減らしたというエピソードは多いです。 マシという程度ですが、ライフワークバランスという点では女性の方が恵まれている男性の妬みはよく聞きました。 ただ結婚・出産で女性間の立場が逆転するケースも多く、「女の敵は女」と争う原因となった気もします。

結婚・出産ですが、経済的に安定しないというのは間違いなく主要因です。 晩婚化も推し進めました。 現在でも未婚の同世代を探すのは難しくないですし、結婚していても子供を諦めた話は多いです。

正規・非正規の間でも溝が生まれます。 学生時代は対等であっても就職後、収入等の格差は開く一方で付き合いは疎遠になった話は聞きます。 金銭感覚が異なってくれば、行きたい店も変わり疎遠になるのは想像に難くありません。

派遣社員が急に増えたの我々の世代で、職場が安定せずに人材がシャッフルされ続ける状態が続くので繋がりが断たれ続けます。 またブラックな働かせ方が当たり前な時代ですので、個人に仕事以外のことをする余力はないです。

学歴逆転、文理、高学歴化、正規・非正規、結婚、出産……。 こうやって並べてみると社会的なありとあらゆる繋がりが断たれる仕組みがありますね。団結できるわけがありません。

選挙に行けと言いますが、そもそも氷河期世代に有利といかないまでも窮状を理解している、問題として捉えている候補者というのは見たことが無いです。 公約なども確認しているつもりですが、就職氷河期なんて存在しないというのが政治の基本的な立ち位置だと思います。 どう見ても失政ですが、政治家というより上の世代が失敗と責任を認めることは無いんじゃないでしょうかね?

氷河期世代自身も、政治に関心を持つのは変わり者とタブー視するような風潮があったと思います。

また自民党に氷河期の製造責任を求めて民主党ならば解決できたという主張をする人も見かけますが、まずできないと思います。 そもそも世代間格差が原因ですし、どちらの党も票田の年齢層を考えれば大胆な対応はできないでしょう。 私の記憶が確かなら氷河期世代の救済を最初に文字として見たのは共産党だった気がします。

「団結が間接的に阻害」、「窮状を認知しない」、「政治に対して無関心」と現代的な?民主主義へ不参加の条件が整うとこれすらも計画されていたように思えます。 氷河期世代に、団結しろ、選挙にいって政治を変えろというのは相当難しいですね、ある意味で実情を理解していない意見だと思います。 我々にとっては法治国家というより口を塞いで搾取だけが増やす放置国家と批判はやむなしかと。

分析・批判できる人は気力が残っている同世代はまだ良いのですが、 関心がなく且つ貯金・資産形成が出来ていない人は近いうちに詰むのではないかと心配になります。 以前試算した一人当たり200万円程度が中央値というのは当たっていたようですし打つ手は有るのでしょうか? あり得ないでしょうが相続税当たりの課税を強化して、氷河期世代以下に再配分するくらいしないと大胆なことをしないと無理でしょうね。

あえて氷河期世代の代弁者と言えば、2ちゃんねるの「ひろゆき」が意外にまともなことを言っている気がしますが複雑な気分にもなりますね。