未完放流

終わりなど無い、有るのは試練だけだ……

氷河期世代の私に役に立ちそうな本(自己啓発系・マネジメント・古典など)を読み比べてみた

氷河期世代の記事を書いて、思うところがあり普段読まない分野の本を読んでみました。 「自分がやってきこと、似た方法を誰かまとめていないか?もっと良いやり方はないか?先人たちの知恵が借りれないか」と思ったのがきっかけ。

結論としては自己啓発書の類は個人で解釈して実践するのは自由だが他人に安易に勧めるべき内容ではなく、 逆に万人に勧めても問題が少ないのは古典ではないのかと思いました。

自己啓発

一般的にはビジネス書という類になるそうです。 読んでいると面倒を見ていた若者(意識高い系)の顔が浮かびました。 意識高い系の人たちが好んでビジネス書を読んでいるというのを知りました。

意識高い系 - Wikipedia

元気が良いのは結構なのですが実践が伴わないので尻拭いは沢山してあげました。 昔だと感謝されたものですが今では恥をかかされたと文句を言われるのが落ちです。

「啓発」という言葉の意味を恥ずかしながら知りませんでした。 由来は論語で、「気づいていないことを気づかせ良い方向に向かせる」という意味だそうです。 他人に何等かを指摘され迷いがなくなり視界が明瞭になるような経験があります。

ということは既に使っている能力やストックが無い場合には役に立たない。

既存の能力であっても別の使いかたなどで道が開けることは在るかもしれません。 例え話としては「イヌイットに凍結防止用に冷蔵庫を売る」というイノベーションですね。

自己啓発書は抽象的な書き方のものが多く具体的な表現が少ないです。 自分を見直すだけなら害はありませんが、本から得たと思われる解釈であって固有のものになってしまう可能性が高いので押し付けると害になりそうです。

ゲーム理論のようなモデルを組んで定量化した方が良いのかもしれませんが、 自己啓発系の本に倣ったエージェントを作成した場合、最も得をするのは最初から存在している資本家になりそうな気がします。

読んだのは以下の2点

7つの習慣-成功には原則があった!

7つの習慣-成功には原則があった!

  • 作者: スティーブン・R.コヴィー,Stephen R. Covey,ジェームススキナー,川西茂
  • 出版社/メーカー: キングベアー出版
  • 発売日: 1996/12/25
  • メディア: 単行本
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読む前に批判的な意見を聞くとフィルタが掛かり良くないのですが現代人は忙しいのでレビューをざっと目を通して読んでもよいのではと思います。 両者とも冗長的な文章で量も多いのでエッセンスだけ欲しくなります。 具体例を上げずに、個々の問題の解決法を誘導するためだと思われます。

両者とも日本で2000年前後にベストセラーになった有名な本ですが、正直に告白すると自分には合わず同意しかねる箇所も多いので詳細な批評は控えます。 平たく言えば根性論・精神論に似ているような……

ただ先にも書きましたが自身のために実践するのは悪くはないかもしれませんが、個人が得た解釈を他人や組織に押し付けるのは危険が大きいと思います。

追加

ユダヤ人大富豪の教え

ユダヤ人大富豪の教え

先述の2冊よりは具体的で読みやすい文体で量も適度にまとまっています。 主人公がアメリカ放浪をしている点を除き、典型的な日本の大学生なので多くの人にも感情移入しやすいかったのではないでしょうか? 前半は結構良いかもと思いましたが、後半に行くに従って表現が抽象的になっていくような。 ユダヤ人の知恵から引用したと思われるものも見られますが、ユダヤ人が好まないのではないかと思う事も書かれています。 個人的に疑問点は幾つか残りました。

ドラマチックな構成になっており、お話としては面白いです。 これを計算して作ったのであれば相当なプロヂュース能力ではないでしょうか。

やはり他人に解釈を強要しないように注意が必要な本という点では上記の2冊と変わりはないです。

道は開ける 文庫版

道は開ける 文庫版

こちらも自己啓発の古典となっていますが、他の有名どころと比べると地味な印象です。 しかし内容が具体的なので同じジャンルの本に見えません。

組織で考えるのなら

就職氷河期の問題を社会という組織の問題として捉えるのであればドラッカーの方が良いかもしれない。

もしドラで有名になったオリジナル、こちらもしっくりする文章が多かった。 就職氷河期世代が被っている損失って未熟なマネジメントに起因しているから当然かもしれない。

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

wikipedia によるとP・ドラッカーユダヤ人なんですね。 下記のユダヤの知恵を読んだ後ですと腑に落ちます。 彼の研究は恐らくユダヤ人としての習慣も影響しているような気がします。

ピーター・ドラッカー - Wikipedia

古典

戦国ものは苦手なのですが、ビジネス書を読んでいると時々見かけたのが「孫子の兵法」こちらも読んでみました。

新訂 孫子 (岩波文庫)

新訂 孫子 (岩波文庫)

漢文・読み下し文・口語訳で構成されています。

古代中国の背景や戦争の仕方に関する知識が無いので想像できない部分もありますが、極めて現実的なことが書いてあることが分かります。 また勘違いしていたのですが、必勝法ではなく、できるだけ戦を避ける方法を模索していることに驚きました。 戦争をして国が疲弊した隙を突かれて他国に責められては元も子もありませんから当然と言えば当然かもしれません。

極限状態での知恵の結晶だと思います。

ユダヤ五〇〇〇年の知恵 (講談社+α文庫)

ユダヤ五〇〇〇年の知恵 (講談社+α文庫)

2chまとめサイトユダヤ人の格言がジョークも利いていて面白かったので読んでみました。

世界で最も頭が良い民族と言われる所以や迫害の歴史から生まれた知恵の数々が分かります。 こちらも習慣が分からないため解釈できなかった文章が幾つかあります。 長い迫害の歴史で服従せずに併存するために培ってきた知恵だと思います。

就職氷河期世代は極限状態に置かれていると言っても過言ではない?

一部の人は日本は豊かだ・恵まれていると言います。確かにそれもある程度事実だとは思います。 しかし今は特別豊かな国だとも思えませんし技術力もトップとは言いにくいと思います。 また個人的な経験からも一旦レールから外れると、セイフティーネットに穴があることを良く見かけワーキングプア問題のようなものは意外に多いです。 本当に助けが必要な時に手詰まりになりやすく、明らかに自業自得なのに前例があるために救済措置が取られる奇妙な事例も幾らか見た気がします。

国や社会が何とかしてくれるというような楽観的に考えはもう捨てた方が良いでしょう。

自己啓発書は歴史が浅く(100年くらい?)、色んな局面を乗り切るにはまだノウハウが不足しているのではないかと思います。 またアメリカを中心とした経済が拡大方向に発展していた時に書かれた書籍です。 飽和状態・長期の縮小方向での考え方については触れられていません。

ドラッカーのマネジメントは組織の問題を主に取り扱っていますが、個人のマネジメントに置き換えて考えても効果がありそうなものも多かったです。

極限状態を乗り越えた「孫子」や「ユダヤ人の知恵」の方が使えるものが多かったですね。 また問題の幅も広く、長い年月をかけて洗練されています。

個人の成功を考えるより、全体で生き残ることを優先するべき気がする今日この頃。